不要になった胡蝶蘭の正しい処分法と、枯れた状態の見分け方・育て方を解説します

お祝いでいただいた胡蝶蘭は、最低でも受け取ってから1週間は贈り主や来客に見えるところに設置し、お披露目するのが一般的なマナーです。せっかくいただいたお祝いですから、お披露目を終えた後は愛情を持ってお世話していただくのが最良の選択肢です。
しかし、管理がうまくいかず枯らしてしまった場合やどうしても置くスペースが確保できないなど様々な理由から、処分方法を考えなくてはならない場合もあるでしょう。
今回は、胡蝶蘭の具体的な処分方法と、枯れた状態の見分け方・長く楽しむための育て方をご紹介していきます。

胡蝶蘭を処分するタイミングとは

胡蝶蘭をお祝いでいただいたら、1週間前後は入り口やロビーなどの贈り主や来客に見えるところに設置しお披露目します。その後、以下のような理由で胡蝶蘭の管理について悩んでしまうことがあるかもしれません。

・たくさん胡蝶蘭をもらって、管理しきれない
・置き場所がなくて困っている
・胡蝶蘭の花が落ちて枯れてしまった

せっかくいただいた美しい胡蝶蘭でも、このような場合などには残念ながら処分が必要になります。ですが花が咲いているうちに捨ててしまうのは胡蝶蘭がかわいそうに思えますし、送り主様にも申し訳ないので、花が咲き終わってからの処分が望ましいでしょう。
胡蝶蘭の処分方法4パターンをご紹介します。

胡蝶蘭の処分方法

解体・分別してごみとして捨てる

そのまま粗大ごみに出すだけでも良いのでは?という方もいるでしょう。しかし、最近はごみ資源の有効利用や環境のためのエコが注目され、ごみの捨て方にはかなり厳しい目が注がれています。そのため捨て方について強く指導している自治体も多数あり、胡蝶蘭は多種類のごみが発生するので仕分けが必要です。処分する際は花茎や葉や根、植え込み材、鉢や支柱の仕分けを済ませましょう。そして、それぞれの素材に分けて、地域のごみの日に出せば正しい捨て方をしたことになります。
ちなみに分別の際のごみ出しの区分はお住まいの地域や自治体によって違うので、ごみの分別表に照らし合わせたうえで出すようにして下さいね。

回収してもらう

専門業者や販売元の花屋に、胡蝶蘭を鉢ごと回収しに来てもらう方法です。量が多くても、一度に引き取ってもらえる場合や条件によっては、無料で引き取りに来てくれる場合もあります。自分で捨てるために運んだりする労力をかけなくて済むので助かりますが、業者によってかかる費用やサービス内容が異なるので、よく調べて選ぶ必要があります。

買い取りしてもらう

専門の買い取り業者に依頼して、胡蝶蘭を買い取ってもらう方法です。花やつぼみのあるきれいな状態なら、買い値が上乗せされる場合があります。回収した胡蝶蘭は業者が別のところへ販売したり寄付するため、花が捨てられることは少ないので「かわいそうだから捨てるのは気が引ける」と思う方には良いでしょう。
前もって業者に胡蝶蘭の保管場所まで見積もりに来てもらわなくてはならず、また、買い取りのために別途出張費用がかかることがあります。花が咲き終わったあとの胡蝶蘭にはほとんど買い値がつかない場合もあります。

知人に譲る・寄付する

最後は、知り合いの人に譲ったり、教育施設や老人ホームといった施設に寄付したりする方法です。最近ではインターネットの情報掲示板でも花の寄付ができるため、インターネットを活用した寄付もできます。
費用をかけたり捨てたりすることなく手軽に胡蝶蘭を処分できるので、「胡蝶蘭が欲しい!」という友人や親戚などがいらっしゃる方、小中学校や老人ホームなどの施設が近くにある場合はおすすめです。まずは近くの教育施設や老人ホームなどに、直接電話やメールなどで問い合わせる必要があります。

胡蝶蘭の正しい捨て方

胡蝶蘭をごみとして処分するときは、花茎や葉や根、植え込み材、鉢や支柱の仕分け作業が必要となります。正しい仕分け方法、処分方法をご紹介します。

STEP 1:テープを取り外す
茎を束ねているテープを切って、外します。また、あわせて茎と支柱(ワイヤー)を固定している根本のテープもすべて切ってはがしてください。
※鉢にラッピングをしたままの場合は、このとき一緒に取り外してください。

STEP 2:茎を切る
根本から数えて4節目のところで、すべての胡蝶蘭の茎を切断します。
茎の上部分にまだ花がついている場合は、花瓶に入れて切り花として楽しめます。

STEP 3:支柱を抜く
鉢から、茎を支えていた支柱を抜きます。

STEP 4:株を取り出す
3本や5本立ちの胡蝶蘭は、大きな鉢に1本ずつ、小さな鉢に入った胡蝶蘭が寄せ植えになっています。これらの小さな鉢を大きな鉢から取り出し、中の株をひとつずつ取り出します。あとは中の植え込み材なども取り出せば、解体完了です。

解体後はそれぞれのパーツを地域のルールに従って分別し、所定のゴミの日に出して処分します。

胡蝶蘭が枯れた状態とは?

どれだけ気をつけてお手入れしていても、長期の休暇や気温・湿度の変化などが原因で、オフィスの胡蝶蘭が枯れてしまうことはありますが、胡蝶蘭は生命力が強い植物です。「花が落ちた=枯れた」とは言えません。花が一部あるいは全部落ちてしまったからと言って本当に枯れてしまっているわけではなく、株自体は生きていることがあります。株が生きていれば、花が全て落ちてしまっても来年、再来年とまた美しく咲く花を楽しむことができるため捨てるのはとてももったいないです。
そこで、胡蝶蘭の株が元気かどうかを見極めるポイントをご紹介します。

「葉」と「根」で判断する

胡蝶蘭が本当に枯れてしまっている状態というのは、「生き生きとした葉が全く見当たらない」また「根がすべて黒く変色してしまい干からびている」状態です。葉と根がこのような状態になって初めて、胡蝶蘭が完全に枯れていると言えます。
胡蝶蘭は生命力が高いため、もし普通の葉が1枚でも残っている場合はまだ生きています。同様に根も、まだ少しでも太い根や変色していないものが見つかれば、枯れてはいません。葉と根の両方をチェックすることが、まだ生きているかどうかを判断するのにとても重要なポイントです。花びらがすべて落ちているからと言って、枯れてしまったと誤って判断しないでくださいね。

部分的に傷んでいるのであれば植え替えを

葉や根の一部がまだ元気なのであれば、植え替えをして根腐れや病気が悪化するのを防ぐことができれば復活する可能性があります。

胡蝶蘭の具体的な植え替え方法については以下の記事を参考にしてみてくださいね。

梅雨の時期の胡蝶蘭の育て方~元気に夏を迎えるために~

胡蝶蘭の代表的な病気

熱帯地域を原産地とし、温暖な気候を好む胡蝶蘭は気温差の激しい日本の冬・夏が苦手です。
また、置き場所や管理方法によっては各部位に以下のような病気が発生したり、虫がついてしまうこともあります。

代表的な病気  感染症による立ち枯れ病

日光で葉が火傷する葉焼け

葉が変質する軟腐病

カビによる炭疽病

低温障害

湿気で根が腐る根腐れ

胡蝶蘭に
被害を及ぼす虫
コバエ、コナカイガラムシ、ハダニ、アザミウマ(スリップス)

アブラムシ、ナメクジ、アリ など

これらの病気や虫害には、軽度なら鉢の置き場所を変えたり、傷んだ部分を切り取ったり、特定の薬品を使うことで対処できます。しかし適切な対処をしても効果が見られなかったとき、また、心臓部である株(茎・葉と根が生えているところ)が完全に腐っている場合は、回復が見込めません。株が変色・変質したり、悪臭を放っているようならお別れするしかないでしょう。

 

胡蝶蘭を長く楽しむための育て方

お披露目期間が終わった後は、胡蝶蘭が過ごしやすい環境に置き場所を移し育ててあげるのが望ましいです。適した環境であれば長くて3ヵ月ほど、そして管理がうまくいけば、翌年に二番花を咲かせてくれるため、他のお花と比べても圧倒的に鑑賞期間が長い生命力の強いお花です。
また、株自体の寿命も長く、病気などのトラブルにさえ気を付けていれば寿命は50年以上といわれています。
処分するよりも愛情を持って世話をすることを選ぶ方のために、胡蝶蘭の育て方の基本をご紹介します。

基本の育て方

花は切ったほうが元気になる

花は、株の養分のほとんどを使ってしまいます。お披露目期間が終わった後も胡蝶蘭を長く育てていきたい場合は、茎を下から数えて4つ目の節上で切って、花は切り花として花瓶などに入れて楽しむのがおすすめです。花がない方が株自体に栄養を蓄えることができ胡蝶蘭が元気になり、翌年に二度咲きしやすくなります。

水は控えめに

胡蝶蘭の水やりは「控えめ」が基本です。
自分で水やりをする以外にも、梅雨時にはミネラルを含む天然の雨を当てると、胡蝶蘭にとって良い栄養源になります。

《基本的な胡蝶蘭の水やり》

水やりの頻度
(目安)
1週間~10日に1回くらい
「乾いているかも」と感じてから3日後を目安に与える
与える量 200~500ミリリットルくらい
与え方 株の根本にゆっくりと与える

肥料は不要

もともと栄養の少ない環境で自生する植物なので、基本的に肥料を与える必要はありません。生育を早めたり花の数を増やしたい場合のみ水で薄めた肥料を与えますが、程度が難しいので花屋などの専門家に相談してから行うのがおすすめです。肥料のあげすぎは栄養過多となりかえって胡蝶蘭を枯らしてしまう原因になってしまいます。

直射日光はNG

原産地では他の植物が作る木陰で自生しているため適度な日光を好みます。直射日光は葉焼けなど病気の原因となり枯れてしまうため、窓際などは避けるようにして適度に明るい光を当てるように管理することが理想です。基本的には湿度、温度、日光のあたり具合のすべてにおいて、人間が心地よいと感じる環境が胡蝶蘭にとっても心地よい環境になります。胡蝶蘭は光合成で栄養分を蓄えるお花ですので、日光が一切当たらない環境だと成長が遅くなり徐々に衰弱してしまいます。風通しが良く、レースのカーテン1枚を隔てた柔らかい日光が当たる場所に置くのが望ましいです。

まとめ

いかがでしたか?胡蝶蘭は株自体の寿命も長く、根腐れなどの病気にさえ気を付けていれば何年でも生きるといわれています。愛情をかけて育てていただくことが最良ではありますが、別れのときはいつかはやってきます。お祝いとしていただくものだからこそ処分も難しいですが、贈ってくれた人の気持ちはしっかりと受け取ったうえで、あなたの状況にあった胡蝶蘭の処分方法を探してくださいね。