観葉植物を育てていれば、トラブルに見舞われることもあります。生き物であるため避けては通れないものですが、適切に処置すれば回復します。「葉が変色してしまった」「害虫から植物を守りたい」「こんな症状は初めて見たけれど、病気なの?」といった疑問や不安がある方は、最後まで読んで参考にしてみてください。
目次
葉っぱに現れる症状
変色(黒)
葉が黒く変色すると、ポロポロと取れてきたり柔らかくなったりします。時間が経過すれば落ち着くケースもありますが、次の原因が考えられるため、適切な対応をしていきましょう。
原因 | 対処法 |
過剰な水やりによる根腐れ | 水やりの頻度改善 |
蒸れ | 風通しをよくする |
根腐れが起こる代表的な原因の一つが「お水の与えすぎ」です。過剰にお水をたくさんあげても大きく生長するわけではありません。「土が完全に乾いてからあげる」を徹底しましょう。
風通しの良さも元気に育てるための大切な要素です。風通しの良い環境では植物の呼吸や光合成が促進され、元気で丈夫な株に成長します。しかし、無風状態の場所ではこうした循環が上手くいかず、葉がシワシワや黄色に変色するといったトラブルが発生します。とくにマンションなどの気密性の高い環境で育てる場合は、風通しをより意識しておくようにしましょう。定期的に窓の近くやベランダなどに出してあげるのも効果的です。
また、葉や枝も定期的に間引いてあげる必要があります。伸ばし続けていくとやがて絡まり、適切に呼吸ができなくなるからです。特に春夏は生長期ですので、スッキリと整えてあげると植物も喜ぶでしょう。
変色(白)
観葉植物の葉が白く変色するとすぐに枯れるわけではないですが、他の健康な葉にも影響を与える可能性があるため、適切な対応が必要です。
原因 | 対処法 |
強い日差しによる葉焼け | 屋内に取り込む |
ハダニ | 殺虫剤を散布する |
葉焼けは強すぎる日光が葉に当たることで、植物の組織が死んでしまい変色してしまう現象です。夏場の強い日差しに当たるなどすると起こしやすいですが、普段室内で育てている株を急に屋外に出してしまうことでも発生します。
「ハダニ」と呼ばれる害虫が付着することでも、葉っぱが白くなります。初期段階であれば霧吹きなどで駆除できますが、簡単に再発するため殺虫剤で根本から断つのが確実かもしれません。また、一度葉っぱが白くなるときれいな状態に戻すのは難しいので、葉を切り落とす方が外見・健康面において有効でしょう。
変色(黄色)
黄色く変色するのは、植物の中でも発生しやすいトラブルです。一度変色した葉は元には戻らず、落葉してしまうのがほとんどです。無理に引っ張って除去する必要はないですが、簡単に落ちるようなら取り除きましょう。
原因 | 対処法 |
強い日差しによる葉焼け | 直射日光を避ける |
古葉 | 葉を取り除く |
根詰まり | 植え替えをおこなう |
低温 | 暖かい場所に移動させる |
根詰まりとは、成長した観葉植物の根っこが、鉢の中でぎゅうぎゅうに詰まってしまうこと。この状態が発生すると、土の中で酸欠状態に陥ってしまい、葉っぱや株そのものに影響が出てしまいます。また、根詰まりの状態で水やりを続けてしまうことで、根腐れを起こす可能性が高くなってしまいます。現在の鉢よりも、ひと型からふた型大き目の鉢に植え替えて、根詰まりの状態を解消してあげます。
気温の低い玄関や窓際に置いていると、観葉植物は低温障害を起こします。種類によっては、春に新芽がふたたび吹いてきますが、そのまま枯れる植物も多いです。特に冬場の窓際はもっとも冷えやすい場所なので、本格的な寒さがくる前に暖かい場所へ移動させる必要があります。暖房などで気温を保つのも効果的です。
垂れる
一見気づきにくい症状ですが、葉が落ちたり枯れたりする可能性があります。
原因 | 対処法 |
冷害 | 暖かい場所に移動させる |
水枯れ | 水やりの頻度改善 |
過剰な水やりによる根腐れ | 水やりの頻度改善 |
日光不足 | 定期的に日光浴をさせる |
観葉植物の多くは冬が苦手であるため、置き場所に注意が必要です。窓際などに置くのは控えるようにします。1年を通して、比較的朝日が当たって、日中は半日陰になるような場所を選びます。秋から冬にかけては、暖房の効いた暖かい部屋で管理し、できるだけ季節によって気温差を付けないことがポイントです。
虫によるトラブル
虫の侵入は、玄関や窓の隙間から侵入したり、衣服や鞄に付着していて人間が持ち込んでしまうこともあるので、完全に防ぐことは難しいです。しかし繁殖力が高いので、見つけたら早急に対処しましょう。
ハダニ
ハダニは、葉の裏に繁殖する0.5㎜以下の大変小さな虫です。パッと見ただけでは気づきにくく、クモのような糸を出します。葉の裏にクモの巣のようなものがついている場合には、ハダニが大量繁殖している証拠です。約20〜30℃の気温が高く乾燥している環境で発生するとされています。乾燥を防ぐためには水を与えるのが重要であるため、以下の対処法がおすすめです。
- 葉水をおこなう
- 木酢液を吹きかける
- 殺虫剤を散布する
ハダニは水に弱いので、霧吹きで洗い流すことができます。手間ひまをかけたくない方は、殺虫剤を散布するのがもっとも効果的です。根本から解決してくれるでしょう。
コバエ
発生原因は「風通しが悪い」「水のあげすぎ」などによる多湿が考えられます。コバエが観葉植物に悪さをするわけではないですが繁殖力が高く、卵も2〜3日でふ化するとされているので、数匹発見したらすぐに対処するのがおすすめです。
- 10~15分ほど鉢ごと水に浸す
- 殺虫剤を散布する
- 表面の土を取り除き新しい土を被せる
大きなバケツなどに水を張り、鉢の土の部分までを水没させてしまう方法もあります。15分ほど経つとコバエの卵や幼虫が浮いてきます。浮いてきた卵や幼虫は目の細かい網ですくい、成虫は殺虫剤などで駆除しましょう。
カイガラムシ
カイガラムシは1~3㎜位のサイズで、葉や茎について樹液を吸います。カイガラムシという名の通り固い貝殻のような殻をもつものと、ふわふわしたものがあります。植物に白いものがびっしりついている場合には、カイガラムシを疑ってよいでしょう。
カイガラムシはティッシュペーパーや割りばしなどを使って虫を取り除きます。簡単に取れればよいのですが、がっちり食いついている場合や、数が多い場合には使い古しの歯ブラシなどを使ってこすり落としましょう。
起こりやすいトラブル
根腐れ
花盛りによせられる問い合わせで、一番多いのが根腐れによるものと思われるトラブルです。
根腐れとは、土の中で根が腐ってしまい、植物に栄養を与えることができなくなっている状態のことです。この状態で放置していると、植物自体に元気がない、幹が柔らかくプニプニしてしまう、葉が黄色や茶色になってしまうなど、植物自体が異変を起こしてしまいます。根腐れを起こすと、葉っぱや茎まで菌が行き渡り植物全体を腐らせます。根腐れしているかもと思ったら、早めに植え替えをすると、植物が元気を取り戻す可能性が高くなるでしょう。
根詰まり
観葉植物は葉や枝が生長するだけではなく、実は土の中で根っこも伸びています。根っこが伸びていくと土の中の余白がなくなるため、次第にお水が正しく浸透しません。根詰まりの対処法は、植え替えをすることです。植え替え頻度は、購入から約1〜2年後です。屋外で管理をしている方は、約1年後におこなうといいでしょう。
冷害
観葉植物は10〜15℃を下回ると葉っぱや茎に障害が発生します。観葉植物は基本的には高温多湿を好むものが多いです。低い温度や冬に弱い観葉植物が多いので、温度が低すぎる場合元気がなくなり枯れてしまうことがあります。対策としては、気温の下がる場所に置かないようにします。日中はしっかりと日を当てて、夜は窓際から離すだけでもOKです。
育て方の基本
ここまで様々なトラブルの対処法を紹介してきましたが、まずは正しいお世話を心掛けましょう。
- 水やり|土が完全に乾いてからあげる
- 置き場所|日当たりの良いところに飾る(直射日光はNG)
- 温度|最低5〜10℃
- 葉水|葉の両面を潤す程度に
水やりの後、受け皿に十分に水がたまったら水を捨てましょう。
葉水は、できるだけ細かな霧が出る霧吹きを使って行います。毎回大量の水を与える必要はありません。ホコリが目立つ際や、害虫の発生が確認できたときは重点的に与えるようにしてあげましょう。
お世話しやすい植物
数ある観葉植物には、もともと乾燥に強い・虫がつきづらいなど、あまり手がかからない種類があります。こういった種類の植物を選んでおけば、お手入れの負担を減らすことができるでしょう。
サンセベリア
鋭くとがった葉っぱの形が特徴的なサンスベリア。もともと乾燥に強く、初心者にも育てやすい丈夫な種類ですが、虫がつかない植物としても知られています。縦長の葉っぱに縞模様が入った姿は、トラの尻尾を連想させることから「虎の尾(とらのお)」という名称でも有名です。
スタイリッシュな雰囲気はインテリア性も高く、水やりの回数は少なくあまり手がかからないことから、初心者にもおすすめの観葉植物の種類と呼べるでしょう。
モンステラ
大きな葉っぱに切れ込みが入った姿でお馴染みのモンステラ。比較的寒さに強く人気の種類です。葉っぱが大きいので葉水がしやすく、虫がつくのを予防できる点も人気の理由でしょう。
ツヤのある葉っぱと特徴的な形状は、エキゾチックな雰囲気を感じさせてくれます。ボリューム感もあることから、インテリアのアクセントにはうってつけです。つる性ならではの樹形もユニークで、つるや根っこを何本も伸ばして成長する特性をいかし、アートな雰囲気を演出できます。切り花のように葉をカットして一輪挿しで飾るのもオシャレです。
パキラ
害虫が付きにくく、お手入れも難しくないのでお勧めしたい観葉植物の1つです。基本的に明るい場所を好みますが、夏の強い日差しで葉焼けを起こしやすいので夏は直射日光を避けて育てます。室内照明だけでも育ちますがレースのカーテン越しくらいの柔らかい日光があたるような場所に置いてあげると、手間いらずで元気に育ちます。
まとめ
観葉植物は室内で育てられるため一見育てやすいと思いがちな観葉植物ですが、環境の変化に敏感なので、意外にデリケートなところもあり、慣れるまでは育て方が難しい場合もあります。
植物によって好みの環境や育て方が違うため、一辺倒にいかないところもありますが、調子が悪くても話せない観葉植物だからこそ、日ごろから観察をして適切な処置ができるようにしましょう。