観葉植物を育てていれば、トラブルに見舞われることもあります。生き物であるため避けては通れないものですが、適切に処置すれば回復します。観葉植物を育てる中で疑問や不安がある方は、下記リンクの対処法まとめ①と合わせて、参考にしてみてください。
目次
葉っぱに現れる症状
変色(茶色)
観葉植物の葉が茶色く変色しても、株自体が枯れてしまうことはほぼないといえます。部分的な葉焼け程度なら、問題ないでしょう。すでに葉の細胞が死んでいるため、残念ながら一度茶色くなった葉は、再び緑の葉に戻すことはできませんが、株を守るため以下の対処法を試してみてください。
原因 | 対処法 |
生理現象 | 部分的にカットする |
葉焼け | 遮光する |
気温と湿度 | 移動させる |
パリパリ
観葉植物の葉っぱがパリパリになると、次第に硬くなります。種類によっては内側へ反ることもあります。そのまま放置をすると、葉っぱだけではなく幹や植物全体が枯れる可能性があります。葉がパリパリになる原因と対処法は、以下の通りです。
原因 | 対処法 |
水が少ない | 水やりの頻度改善 |
根の痛み | 活力剤を与える |
茎が折れている | 折れた茎をカットする |
水やりの頻度・量が少ないと、葉がパリパリになります。与える水分が少ないと葉に運べる水分も少なくなるため、水不足になる可能性が高いです。お水を与える際は、鉢底から流れるくらいたっぷりと与えてください。夏場は乾きやすいため、よく観察しましょう。お水やりチェッカーを利用するのもおすすめです。
植え替えの際に根が傷つき痛む可能性もあります。傷が上手く修復されないと、水を吸い上げる力が弱くなり、葉っぱに水分を供給できなくなるのです。
また、茎が折れたまま放置をすると次第に葉が枯れるため、折れた部分はカットをして対処します。
葉焼け
観葉植物も人間と同じように、強い日差しを浴びると葉っぱに焼け跡がつくことがあります。これを「葉焼け」と言い、植物全体が枯れるわけではないですが、一度葉焼けをすると元の状態には戻りません。見た目が悪くなるだけではなく体力を奪うため、適切な対処が必要です。
葉焼けが起こる原因としては、葉っぱが直射日光にさらされていることが挙げられます。「屋内に移動させる」「葉焼けした葉を取り除く」などの対処が有効です。 日差しの強い夏場にベランダの外などに短時間置くだけでもすぐに葉焼けを起こすので、気を付けてください。
株・幹・茎に現れる症状
株がしおれる
観葉植物の株自体がぐったりと横に倒れてしまったときは、乾燥による水不足が原因として考えられます。すぐに水やりをすれば大抵の植物は、数時間後、または次の日に復活していることが多いです。しかし、極端な状態に陥ると植物は根から水を吸い上げる力さえもなくなり、水を与えても徐々に枯れてしまいますので、注意が必要です。
観葉植物の株がしおれて元気がないときは、活力剤と水を与えて栄養と水分を補給させましょう。
植物の細胞の中には、「液胞」と呼ばれる水溶液がたっぷりと詰まっています。この液胞には、カルシウム・マグネシウム・鉄などの無機物と、糖・アミノ酸・色素などの有機物が溶け込み、植物のからだを支えています。液胞が体内に十分にあることで、植物はみずみずしく保たれ、葉や茎をピンと張ることができるのです。
基本的に植物が水不足でしおれるのは、この液胞が少なくなり、植物の骨(構造)といえる細胞壁を突っ張らせる水圧(膨圧)が低くなることが原因です。液胞が細胞の中にたっぷりと詰まっていることで、水圧が高くなり、液胞と核を囲う細胞壁を固く突っ張らせることができます。
また活力剤によって、不足してしまった栄養を吸収でき、水分を吸い上げる力が生まれ、全ての細胞の中に液胞を充満させられます。
ちなみに、液胞は植物の代謝によってできた廃棄物の蓄積倉庫、花を咲かせるためなどの栄養分の備蓄庫の役割もあります。過度な水不足は、観葉植物の生長を妨げることにもなるので、できるだけ土を乾燥させ過ぎないように管理しましょう。
幹・茎がやわらかい
観葉植物の幹や茎がやわらかくなっている場合は、水切れ、または根腐れの可能性があります。水切れの場合、幹や茎の中の水分が過剰な蒸発(蒸散)によってなくなり、吸い上げる水分もないため、幹や茎がしおれたようにやわらかくなります。
根腐れしている場合は、幹や茎が腐ってやわらかくなり、葉も変色しぐったりするなど、複数の異変が起こります。水やりを行なうだけでは復活することはなく、むしろ悪化させてしまう場合もあります。
対処法:根の整理と植え替え
幹や茎がやわらかくなって、観葉植物の元気がない場合は、まずは土の状態を確認します。土が乾燥している場合は、水切れの可能性があるので水を与えます。しかし、湿っているのに幹や茎がやわらかいときは、根腐れの可能性があるので速やかに鉢から株を抜きましょう。
根についた土を落とし、傷んでいる箇所を消毒した園芸用ばさみで全て取り除きます。壊死(えし)した箇所が幹や茎まで広がっている場合は、範囲にもよりますが株自体を復活させることが難しいかもしれません。ただし、生命力の強いガジュマルやゴムの木類などは、まだ生きている枝葉の一部を切り取って挿し木で新たに増やすことができます。根腐れは1日ずつゆっくりと進行するので、できるだけ発見次第対処しましょう。
カビによるトラブル
土の表面にカビやきのこが生えてしまっても、観葉植物にとっては無害です。植物に悪さをするわけではなく、自然界でも一般的に見られるものです。しかし、カビによって生える場所・繁殖する場所が違うため、種類によっては危険なものもあります。
土や肥料の表面
土や肥料の表面に生えるカビは、すぐに除去しなくても特に問題はありません。そもそもカビは菌であり、植物にとっても必要不可欠な存在といわれています。植物の種類によっては、生きるために菌(カビ)が必要なこともあります。
観葉植物の土に多量のカビが生えてしまった場合、土の入れ替えを行います。土は新しく購入しなくても、アルコールで殺菌することで再利用が可能です。広げた新聞紙、ビニールシートなどにカビが生えた土を取り出し広げます。見えていない部分にもカビがいるので、深めに取り出しましょう。十分に土を広げたらスプレーで消毒用アルコールを噴霧します。土全体にしっかりとかけましょう。日光で乾燥させたら鉢に戻します。必ず屋外で行ってください。
葉の表面についた白や黒のカビ
観葉植物の葉の表面に生えた白や黒、または茶色のカビは、病気を発症させることがあるので危険です。放置したままでは、株全体に広がるだけでなく、周辺の植物にも広がる可能性もあります。
対処法:すぐに摘除
まず、観葉植物の葉や茎に付いたカビをふき取ります。湿らせたペーパータオルやティッシュペーパーをつかい、観葉植物の葉や茎すべてをふき取ります。ペーパー側についたカビを別の場所に付けないために、ペーパーのふき取る場所をこまめに変えていきます。ふき取っても変色している場所は完全に病気になっている場所です。剪定ばさみやナイフなどで除去しましょう。必ず屋外で行ってください。
葉の表面についたカビは、土の表面に生えるカビとは違うので、すぐに摘除する必要があります。
カビは種類によってさまざまですが、比較的気温が0〜45℃の場所で繁殖します。また、その中でも観葉植物に生えるカビは、気温が20〜35℃で、湿度が60〜80%前後になると生えやすく、土が湿っていることで、カビ菌が植物の根のように奥深く、幅広く張るようです。乾燥した場所にはカビは生えにくいので、観葉植物を置く場所は、できるだけ日当たりと風通しを良くし、湿気がたまらないようにしましょう。人が清潔と思えるような環境づくりをすることで、菌をはじめ細菌やウイルスも発生しにくく、病気にかかることも減ります。
そして枯れた葉は、土の上に放置せず、こまめに捨てましょう。落ちた葉の裏などの土にカビは生えやすいのです。土の表面を乾いた状態にするためにも枯葉を残さないようにしましょう。
観葉植物が喜ぶ環境とは?
観葉植物を元気に育てるためには、まずは適した環境づくりが必須です。できるだけ以下3つの条件を満たした場所を見つけてあげてください。
直射日光・西日が当たらない「明るい日陰」
観葉植物にとって一番重要となる日当たり。最適な環境は、レースのカーテンやブラインドなどで日光を調整した「明るい日陰」です。直射日光や西日が長時間強く当たるような場所では、植物を元気に育てることはできません。
植物によって光への耐性や好みは違いますが、朝の日差しが良く当たる場所で元気良く育つものが多いです。光合成が活発になるため栄養を豊富につくれ、健康的な株に育ちます。直射日光や西日の当たり過ぎは、葉焼け・水切れ・根腐れの原因となりやすく、株が枯れてしまうこともあります。カーテンやブラインドなどで遮光し「明るい日陰」を作りましょう。
窓から光が差し込みにくい暗い部屋の場合は、園芸用のグローライトなど照明機器を使って管理するのも良いでしょう。
空気の流れがある
植物は、光と水の次に「風」を必要とします。風を浴びることには、光合成を促進する作用もあるのです。風は植物が呼吸する際に使用する気孔の開閉をサポートしますので、『蒸散』と呼ばれる呼吸や、体温調節、水分の発散などの現象が活発となり、最終的に光合成につながっていきます。
風通しの悪い場所にずっと置いておくと、土の中の湿度が高まり、雑菌が繁殖し、害虫が増える原因にもなります。窓やドアは完全に締め切らず、常に空気の流れができるようにしましょう。扇風機やサーキュレーターなどを使うのも効果的です。
さらに空気の流れがあると、直射日光による葉焼けを防止するという効果も期待できます。直射日光を浴びた状態で無風であると、同じ角度で陽の光を浴び続けることになってしまいます。風通しがよければ、定期的に風に揺られて葉っぱが動くでしょうから、葉焼けを防ぐことになるのです。
気温が一定である
観葉植物は基本的には高温多湿を好むものが多いです。気温が15〜25℃の間で常に一定になるような場所に、観葉植物を置きましょう。窓から差し込む光・風通し・暖房冷房機などを使って、季節ごとに温度の調節を行いましょう。また、観葉植物を飾る場所には温度計や湿度計を設置して、ひと目で数値がわかるようにしておくのもおすすめです。
必要なケア
観葉植物のケアは、温度調節だけでなくほかにも必要なことがたくさんあります。ここでは、特に行うべき必要なケア方法を3つ紹介します。
植え替え
土の栄養分が水やりで抜けていくので2〜3年に1回を目安に植え替えを行いましょう。植え替えの理由のひとつは根詰まり防止です。
幹の成長に伴い、鉢の中の根も成長します。幹や葉の部分が鉢に比べ大きすぎてバランスが取れなくなったり、鉢底から根がはみ出す様になったら一回り大きい植木鉢に植え替えをしましょう。いつまでも同じサイズの鉢に入れたままでは、植物は元気に生長しにくく、根詰まりを起こして生長の流れが悪くなります。根詰まりを起こすと、与えた水が土に染み込みにくいため、水や栄養を十分に吸収できず枯れてしまう場合も。
また、土が古くなると栄養のバランスや植物の生長を助ける微生物や菌の量が減ってしまい、病気や害虫の被害にあいやすくなります。新しい土に替えて鉢の中の環境を良くすることも大事です。
植え替え後は水やりで水分を補給し、風通しがいい明るい日陰で十分に休養させてあげます。
季節ごとに水やりのタイミングを変える
温度によってストレスを大きく受けることもある観葉植物は、根や葉が傷まないように、季節ごとに水やりのタイミングを変えて管理します。夏場などで、日差しの強い日中は、水やりを控えることも大切です。土の温度が高いときに水を与えると、最初は土の中が冷たくなりますが、水の温度は上昇し、土の中が蒸されたような状態になります。そうなると、根がダメージを受けるでしょう。できるだけ気温が高過ぎるときや、逆に冬場の気温が低過ぎるときに水やりをするのは控えましょう。
肥料や活力剤を与える
観葉植物には定期的に肥料や活力剤を与えて、葉や花がより美しくて健康的な株に育てるのがおすすめです。肥料や活力剤を必ず与えなくても、株が枯れてしまうことはあまりありませんが、与えた方が見栄えが良く、病害虫にも強くなります。
春から夏の成長期に、二ヶ月に一回の割合で肥料をあげると大きな効果があります。冬は観葉植物の成長は鈍くなるので、肥料はいりません。栄養をたくさん与えるのが愛情と思うかもしれませんが、時期を考えて、ふさわしいタイミングで肥料を与えるのが、上手なお手入れのコツです。活力剤は肥料ではないので、水やりのタイミングや、普段何でもないときにでも定期的に与えるようにしましょう。
まとめ
長い間緑をキープしておける観葉植物は、季節を問わずその場を彩り、癒しや空気清浄効果を与えてくれる上に、手間もかからないという理由で衰えない人気があります。
ほかの植物に比べて圧倒的にお世話がしやすい観葉植物ですが、手入れが必要になる時もあります。普段からよく観察をして、なにかトラブルに見舞われたら早めに対処してあげてください。