【観葉植物の引っ越し】梱包・運搬・処分の方法を詳しく解説

殺風景なお部屋に彩りを与えてくれ、美しい緑で心を癒してくれる観葉植物はとても優秀なインテリアであり、ペットのような存在でもありますよね。そんな大切な植物ですが、引っ越しのときに果たして業者に対応してもらえるのでしょうか。また、自分で運搬する際にはどのように梱包をすればよいのでしょうか。さらに、観葉植物が枯れてしまっている場合などは処分をしなければなりませんが、その捨て方についても気になるところです。
そこで今回は、引っ越しの際に植物を運びたいときの注意点や梱包の仕方、また引っ越し前に処分する方法について詳しく説明しています。

引っ越し業者は観葉植物を運送してくれる?

観葉植物には背丈の高いものも多く、「自力で運ぶのは大変そう」と思う方も多いのではないでしょうか。できればほかの荷物と共に、引っ越し業者に運送を頼むことができたら楽ですよね。しかしながら、引っ越し業者の中には植物の運搬は受け付けていないところもあるようです。

引っ越し業者は植物の運送を拒否できる

植物の運搬にはリスクがあるほか、美術品に近いものもあり、このような荷物に関しては、引っ越し業者側から断ることが可能になっています。引っ越し業者と消費者の間のトラブルを未然に防ぐことを目的に国土交通省が定める「標準引越運送約款」というものに、以下のように明記されています。

次の各号の一に該当する場合には、引越運送の引受けを拒絶することがあります。
・動植物、ピアノ、美術品、骨董品等運送に当たって特殊な管理を要するため、他の荷物と同時に運送することに適さないもの

ペットや美術品など運搬時に特殊なテクニックを必要とするものや、壊れたときに保証ができないものは、運送を拒否できるということです。観葉植物は品種に合わせた管理が必要なうえ、環境の変化に弱いため、引っ越し業者が責任を負うにはリスクが高くなります。よって、植物の運送を拒否することが認められているのです。

運送可能かどうかは引っ越し業者次第

引っ越し業者が植物の運送を拒否できることがわかりました。ただ、あくまで植物の運搬を拒絶してもよいだけで、運んではいけないわけではないこともわかります。そのため、引っ越し業者によっては、植物の運送を引き受けてくれるところもあります。
ただし、「ダンボールに入るくらいの小さな観葉植物なら追加料金なしで運送可」、「トラックに乗らないほど大きな観葉植物は運送不可」など、引っ越し業者によって条件が異なるので、見積もりの際に確認が必要です。オプション料金が発生する可能性もありますので、必ず詳細を問い合わせるようにしましょう。

傷んだり枯れたりしても自己責任

引っ越し業者が引き受けてくれた場合、運送中に葉が破れたり、枯れたりしても、補償の対象外になるケースが多いことを覚えておきましょう。運搬中は長時間、水分や光がない環境に置かれるため、葉落ちや枯れてしまう恐れがあります。温度や湿度によって傷むことがある特別な管理を必要とする種類のものならなおさらです。運送の際に起きた観葉植物のトラブルは、あくまで「自己責任」ということです。
また、大きな植物だとほかの荷物と一緒にトラックに載せるのは難しいです。植物を梱包したダンボールは重ねて運べないので、スペースもかさんでしまいます。大きさや個数によっては輸送手段に影響が生じてしまうので、引っ越し料金が高くなる可能性もあります。

引っ越しの下準備

引っ越しは事前準備が大切。観葉植物について、引っ越し業者に何を相談すればいいのでしょう。

1.引越し会社に頼むものと、自分で運ぶものを選別

補償対象外という条件であれば、引っ越し業者に植物を運搬してもらえることがあります。その場合、運搬のリスクを少しでも下げるために、厳重な梱包が必要です。次の章でご説明する正しい梱包方法を理解したうえで、引っ越し業者に植物の運搬をお願いしてみましょう。

問い合わせ時に引っ越し業者に植物を運んでもらえるのか、運んでもらえるならば、どの植物を運んでもらうかについて、話し合う必要があります。引っ越し費用を抑えるためには、引っ越し業者に頼むものと自分で運ぶものをあらかじめ選別しておくとよさそうです。

2.植物への水やりは控えめにする

植物の種類によりけりですが、引っ越しの3日くらい前を最後の水やりにし、土の表面が乾いてパラパラになる状態にしておく方がよいでしょう。植物は葉っぱが少ししおれてしまっても、その後ちゃんと水をあげれば元気を取り戻すことが多いです。引っ越し当日に観葉植物から水がこぼれてしまうと、ほかの荷物が濡れてしまう恐れがあります。また、水分を多く含んで重くなっている場合、観葉植物を動かすのが大変です。また、ダンボールに入れたり、トラックの中に入れたりするなど、無風状態になると蒸れてしまうこともあるので、植物のためにもドライな状態にしておくことが必要です。引っ越し直前はお水を少なく、肥料もあげないようにして、いわば”眠った状態”にして運んであげる方が、植物にとって負担が少ないようです。

引っ越し時の梱包方法

小型の観葉植物

小さな観葉植物は、基本的にすべてダンボールに詰めて固定します。まず植木鉢の底を新聞紙などで覆い、ビニール袋の中に入れて、取っ手の部分を軽く結んで中身が隠れるようにした後、ダンボールに詰めます。ビニールで包んでおけば、鉢から水が出てほかの荷物を汚すリスクを減らせますし、心配であればビニール袋を二重にするとさらに安心です。

ダンボールに入れたら、観葉植物が運搬中に動かないよう、余ったスペースに不要な新聞紙や緩衝材などを詰めて固定しましょう。その際、植物の重みでダンボールの底が抜けてしまわないように強度の確認も忘れないでくださいね。ポイントは、植木鉢であることがわかりやすいように、ダンボールのふたを開けておくこと。観葉植物の上にほかの荷物を積載してしまうリスクを回避できます。ふたについてはダンボールの側面にガムテープで固定しておきましょう。

背の高い観葉植物

背の高い植物を梱包する場合も同様に、植木鉢の底を新聞紙などで覆い、気泡緩衝材(プチプチ)を観葉植物の根元の周りに詰め込んで、養生テープで固定します。枝や葉などは繊細で傷つきやすいため、新聞紙やダンボール、養生シートなどで周囲をカバーしましょう。カバーが外れないように、つなぎ目をテープで固定をします。

植木鉢と観葉植物の側面をカバーしたら、植木鉢をビニール袋に入れます。観葉植物が萎れやすくならないよう、天井部分は適度に外気が入るよう縛り加減を調整するか、ビニール袋に穴を何か所か開けて通気の確保を行ってください。布団袋に入れる方法もおすすめです。布団袋はファスナーで閉めることができるため、万が一運送中に倒れても、土が散らばりにくいというメリットがあります。もし土が乾くのが心配であれば、土の表面に丸めた新聞紙を敷き詰めるのも効果的ですので是非、お試しください。

大型の観葉植物

大きな観葉植物はバランスが悪く、荷台の上で倒れてしまうリスクが高いため、植木鉢をダンボールに入れてから土台を補強していきます。土台を補強する方法には二種類あります。

  • 土台のダンボールのふたを立てるパターン
    土台のダンボールのふたを垂直に立て、ふたの部分を起点に養生シートなどで包みます。最終的にダンボールの側面を縦に延長して、細長い直方体を作るイメージです。土台のダンボールの中で植木鉢がずれてしまう可能性もありますので、中の余ったスペースには植木鉢が動かないよう不要な新聞紙や緩衝材などを入れて固定しておくとよいでしょう。
  • 土台のダンボールのふたを閉めるパターン
    土台のダンボールに入れたあと、ふたを根元の方向に閉めます。外れないようにガムテープで固定しましょう。その後、茎や枝がむき出しになっている部分をほかのダンボールをかぶせて覆い、カバーが外れないようにガムテープで固定します。土台のダンボールと観葉植物を一体化して固定できる方法ですが、根本に負担をかけてしまわないように注意が必要となります。

自家用車で運ぶ場合

小さい観葉植物を少量運ぶのであれば、通常の荷物のように車内に積載して運搬できます。複数の苗を一つのトレーにまとめた状態でまるごとダンボールに入れる方法が良いでしょう。ひとつのダンボールにつきひとつのトレーだけを入れ、車に積む際には荷崩れを防ぐために隙間なくダンボールを詰めることも大切です。一部だけ高くならないように、ダンボールの高さは平均的に整えるようにしましょう。ハンギング系の植物は車内に吊って運ぶのがおすすめです。

大きな観葉植物は車内で倒して積載することになります。土がこぼれてしまわないように、鉢を大きめのゴミ袋に包んで縛ってから倒します。また、枝が折れてしまわないように、枝も紐で縛ります。幹の部分が車内の部分と接触してしまうときは手袋などの柔らかい素材を被せたり、間にはさんでおきましょう。

また運転においては、段差や急カーブを避けたりする配慮が必要になります。ゴミ袋で包んだとしても枯葉が落ちることがあるので、運搬後は掃除機がけや拭き掃除も必要です。

処分する場合


残念ながら観葉植物の運送ができなかった場合や、新居で買い替える場合には、観葉植物を処分する方もいるのではないでしょうか。引っ越しの際に観葉植物を処分する方法をご紹介します。

造園業者に依頼する

大きな観葉植物の場合は、専門業者に引き取りや伐採を依頼すると良いでしょう。無理に自分で処理しようとするのは、ケガやトラブルのもとです。庭にある大きな樹木で、幹を回収してもらう必要がある場合は、費用が高くなる傾向があります。

分別して自治体指定のゴミの日に出す

観葉植物や土は、基本的に燃えるゴミとして捨てることができます。処分する観葉植物が大量な場合は、出す日を分けたり、事前に自治体に連絡したりしておくと良いでしょう。大きな観葉植物は、ゴミ袋に入る大きさにカットしてから処分してください。

ただし、自治体によっては、土が燃えるゴミ扱いにならないこともあります。その場合産業廃棄物処理業者に依頼する必要があります。

観葉植物が入っていた鉢植えやプランターは、まずは捨てずに洗って別の観葉植物に使えないか考えてみてください。どうしても処分する場合は燃えないゴミや粗大ゴミ、プラスチックゴミなどとして処分することができます。自治体のルールを必ず確認しましょう。

オークションサイトやフリマアプリに出品する

処分せずに、オークションサイトやフリマアプリなどを利用して、観葉植物を必要としている人に買い取ってもらう方法もあります。取り引きにあたって観葉植物の発送がともなうので、その過程で植物が痛んだり枯れたりするトラブルが発生する恐れもありますが、処分費用がかからず、売上金を得られるのがメリットです。売却までに時間がかかることもあるので、売る場合は早めに出品するようにしましょう。

いよいよ運搬

植物の引き渡し・積み込み

いよいよ引越し当日。大型の鉢植えなど、事前に任せることに決めた鉢植えを引越し業者に引き渡し、自分で持って行くと決めた分の植物は、車に積みます。パーキングエリアなどで休憩する際、できれば窓やトランクを開けて、風を通してあげましょう。

新居に到着→荷ほどきをする

新居に到着したら、運んできた植物の荷ほどきをします。植物は置く場所を最初から決め込んでしまわず、一旦適当な場所に仮置きするのが良いでしょう。内見の際には、ほんの一時の部屋の状態しか見られないので、ここは朝日が強いとか、夕方の西日が強いなど、そういったことはわかりません。日当たりは植物の成長に大きくかかわるので、新居で生活しながら少しずつ置き場所を変えていくとよいと思います。

引っ越し後の植物のケア

引っ越し前に水を少なくしていたからといって、新居に到着してすぐお水をたっぷりあげることは避けた方が無難です。環境の変化でストレスを感じている植物に対して、急にたっぷりのお水をあげると、吸収するのにパワーが必要なのでさらに負担になります。引っ越し翌日など、その環境に馴染んでからお水をあげてください。

また、移動中に傷んでしまった葉は切り落としてしまいましょう。折れてしまった葉は戻らないので、葉の根本から切ってしまいます。傷んでしまったところに栄養を運ぶよりは、今生きている葉やこれから出てくる葉に栄養を運んだ方が植物のためにも良いからです。さらに、もともと調子が良くなかった鉢植えが、移動をきっかけに本格的に枯れてきてしまうこともあります。そんなときは思い切って葉を全て落としてあげると、復活することがあります。

まとめ

観葉植物は通常の荷物と異なる梱包、運送をしなくてはならない分、余裕を持って準備する必要があります。スムーズに新生活をスタートするためにも、引っ越しの際植物をどうすればよいのか、できる限り早めに引っ越し業者に問い合わせておきましょう。そして植物に合った梱包をして、できるだけ植物への負担を軽減できればいいですね。引っ越し先での植物との新生活が、素晴らしいものになりますように!