いただいた胡蝶蘭、いつまで・どこに飾るべき？オフィスで胡蝶蘭を育てるポイント

周年祝いや移転祝いなど、ビジネス関係の御祝の品にいただくことが多い胡蝶蘭。
いただいたお花の管理について、どうしたらいいのか戸惑う方もいらっしゃるのではないでしょうか？
今回はオフィスに設置し、できるだけ長く美しい胡蝶蘭を楽しむために注意すべきポイントをご紹介します。

1 そもそも、胡蝶蘭ってどんな植物？
2 胡蝶蘭をいただいたらすべきこと
3 番外編：胡蝶蘭を切り花で楽しむ
4 法人ギフトにおすすめの胡蝶蘭
5 まとめ

そもそも、胡蝶蘭ってどんな植物？

胡蝶蘭の育て方のコツを学ぶ前に、まずは胡蝶蘭が本来どんな環境で生息する植物なのかをご説明いたします。
野生の胡蝶蘭は高温多湿な熱帯地方に多く自生し、
土ではなく木や岩盤に根を伸ばして育つ着生（ちゃくせい）植物です。
日本の胡蝶蘭が、土ではなくバークや水苔などの「植え込み材」と一緒に鉢に植えられているのは、少しでも本来の生育環境に近づけるためです。
もともと温暖な熱帯地域で、他の植物に寄生して生きる胡蝶蘭が好む気温は15～22度、湿度は60～80％です。
以上のことを踏まえて、胡蝶蘭を元気に育てるポイントをご紹介していきます。

胡蝶蘭をいただいたらすべきこと

ではここから、オフィスに届いた贈答用胡蝶蘭の適切なお手入れ方法について、受け取りから順を追って解説していきます。

立札と鉢のラッピングはつけたまま、1週間ほど目立つ場所に

贈答品としての胡蝶蘭には、以下のような意味合いがあります。

≪胡蝶蘭が持つ意味合い≫
【1】見た目の華やかさで、慶事のあった場所を彩る
【2】周囲に対し慶事があったこと、イベントがあったことを知らせる
【3】並べられた花の数が、そのまま贈り主の人脈の広さを物語る

ラッピングと立て札は、喜ばしいことのあった贈り先を華やかにするとともに、周囲に贈り先名・贈り主名の両方をPRする目的でつけられています。
そのためオフィスに胡蝶蘭をいただいたら、まずは花の保護のために付けられたビニールを外し、従業員や来客の目に着きやすいところに設置して、1週間ほどお披露目してください。

こんな場所はNG

・極端に気温が高く、または低くなってしまう屋外
・直射日光のあたる扉や窓の近く
・乾燥したエアコンの風が直撃する場所

一週間以上経過したら適切な場所へ

胡蝶蘭を受け取ってから1週間ほど経過したら、いただいた方へのお礼やお披露目の意味での設置は、もう十分でしょう。
胡蝶蘭が好む原産地に近く生育に適した設置場所の条件は、以下の通りです。参考にして、これらの条件を満たせる設置場所を探してみてくださいね。

設置場所に適した3つの条件

・レースやブラインド越しの、木漏れ日のような柔らかい日光が当たる
・エアコンなどの乾燥した風は当たらないが、通気性が良く湿気がこもらない
・年間を通して気温が18～25度程度の暖かい場所

具体的には、オフィス内で自然な風と日光が入ってくる窓際に設置するのが良いでしょう。

ラッピングを外し受皿があることを確認

置き場所が決まれば、次は日々のお手入れの準備を進めていきます。
鉢のラッピングと立て札を取り外して処分し、鉢の下に受け皿があることを確認します。水やりしたときに鉢の中の余分な水分が出て来られるように、受皿は必須です。もし、ラッピングを外したときに受け皿が付いていなかったときは、ネットショップやホームセンターで購入できますので、鉢の大きさに合ったものを用意してくださいね。
このとき、鉢表面の植え込み材を触り、カサカサと乾燥しているようであれば、コップ1杯分の水をゆっくりと根元に与え、最初の水やりをしてください。
ここまでで、胡蝶蘭を育てる準備は完了です。

季節に合わせた水やりをする

基本の水やりは、1週間に1回程度、植え込み材が乾いているタイミングを目安に、1回あたり200～500mlの水を株の根元に与えます。
胡蝶蘭は、基本的に1株につき1本の茎と花、根があります。一般的な3～5本立ちの贈答用胡蝶蘭の場合、1つの鉢に3～5株の寄せ植えになっていて、根も3～5つあるということになります。水やりではすべての株に水が行き渡るよう、1株1株の根元にコップ1杯分の水をゆっくり流し込むようにして、与えてください。

少ない水と栄養で生きられる胡蝶蘭は、水をあげすぎると根が腐り枯れてしまいます。このため、季節の変化にあわせた適切な水やりを続けることが、長く胡蝶蘭を楽しむためには非常に重要です。
以下に、季節ごとの胡蝶蘭への水やりのポイントをまとめましたので参考にしてください。

春	・基本の水やりでOK、ただし空気が乾燥しているようなら葉に霧吹きを
夏	・水やりの頻度を、基本の1週間に1回から2～3日に1回程度に増やす・エアコンで乾燥しているようなら、水やりのタイミングで葉に霧吹きを
秋	・基本の水やりでOK、ただし空気が乾燥しているようなら葉に霧吹きを・残暑が厳しい場合は、夏の水やり方法に準じた頻度、量にすると良い
冬	・水やりの頻度を、基本の1週間に1回から3～4週間に1回に減らす・このとき、1回あたりに与える水の量は200ml程度で十分・すぐ植え込み材が乾くようなら、2週間に1回程度水やりと一緒に葉に霧吹きを

こちらは特に注意したい季節の管理方法を詳しくまとめた記事です。是非参考にしてくださいね。

梅雨の時期の胡蝶蘭の育て方～元気に夏を迎えるために～

実は簡単！胡蝶蘭の冬の越し方・育て方～もう一度咲かせる方法～

オフィスの気温・湿度管理

最初にご説明した通り、胡蝶蘭が好む気温は15～22度、湿度は60～80％ですので、日本の夏・冬は胡蝶蘭にとって厳しい環境であると言えます。
また、オフィスは人が活動する日中と、人がいない終業後で環境に差があります。そんな場所で胡蝶蘭を育て、過酷な夏・冬を乗り越えさせるためには、以下のような工夫で鉢の周辺の気温・湿度をコントロールしてあげる必要があります。

こんな工夫が効果的

・自然風以外、エアコンや扇風機の乾燥した風が当たらない場所に設置する
・エアコンの影響、また季節がら空気が乾燥しているときは、葉に霧吹きをする
・気温が下がる冬季は、退社時に胡蝶蘭を窓際から遠ざけ部屋の中央に移動させる

胡蝶蘭の花は、長ければ1か月以上、きれいな状態のままで咲き続けます。ただ、花が日持ちする期間は管理する方法や場所、季節によっても変わってきます。気温が極端に高くなる夏、低くなる冬には劣化が比較的早くなりますし、気温・湿度が胡蝶蘭の好む環境に近くなる春から初夏、秋には花持ちが良くなる傾向が見られます。適切な場所に設置し、上手にお手入れと管理をすれば、3か月以上花が咲き続けるケースもあるようですよ。

番外編：胡蝶蘭を切り花で楽しむ

長ければ1か月以上、きれいな状態のままで咲き続ける胡蝶蘭。この間に胡蝶蘭の茎を切って切り花にすれば、鉢植えを設置するよりも少ないスペースで、アレンジメントとしても胡蝶蘭を楽しめるようになるのです。
ここからは、いただいた胡蝶蘭を鉢植えではなく切り花として楽しむ方法について、見ていきましょう。

まずは根本から、花のついている茎をカット

ホームセンターなどで売っている花切りバサミを用意し、刃先をライターなどであぶって消毒してから、花のついている長い茎を根元から切り落としてください。
花のついている茎をすべて切り落とすと、胡蝶蘭の心臓部である「株」に栄養を蓄えられるようになり、胡蝶蘭自体の持ちがよくなります。
翌年以降に二度咲きをさせたい場合は、このまま鉢を管理して株を育てると良いでしょう。

次に「水切り」をして、水の吸い上げ口を広げる

切り花が茎から水を吸い上げやすくするようできることとして、水揚げがあります。その最も簡単な方法が、茎を水の中に入れた状態で茎を切る「水切り」です。
鉢から切り取った胡蝶蘭の茎の根元を水につけ、斜めにハサミを入れて、水中で茎をカットしてください。これを「水切り」といいます。水中で斜めに茎を切ることで、導管への空気の侵入を防ぐとともにスムーズに水を吸い上げ、かつ、水を吸い上げるための面積を広く確保できるようになり、花の持ちが良くなります。あとは好みの花瓶に生けたり、花器やバスケットにオアシスを設置し挿すなどして、胡蝶蘭の花を楽しみましょう。

毎日の水切りと水替えは必須

暑い季節を中心に、花瓶やアレンジメントのベース部分に含まれる水の中では雑菌が繁殖します。
胡蝶蘭の切り花が常にきれいな水を吸収できるよう、たとえ雑菌が繁殖しにくい冬でも、花瓶の水は毎日替えてあげるよう心がけてくださいね。また、毎日の水替えの際、1ｃｍずつ水切りを行い、胡蝶蘭が水を吸い上げる手助けをしてあげましょう。