花が落ちた胡蝶蘭を「二度咲き」させて長く楽しもう

胡蝶蘭は何度もお花を咲かせることができることをご存じですか?最初の花が落ちた後、枯れたと思って処分をしてしまう方も少なくありません。実は鉢植えの胡蝶蘭は、翌年、さらに翌年と何度も美しい姿を楽しむことができます。
この記事では、胡蝶蘭の二度咲きの方法を初心者の方でも挑戦しやすいようわかりやすく解説します。ぜひご自宅やオフィスの胡蝶蘭で、二度咲きに挑戦してみましょう。

胡蝶蘭ってどんなお花?

原産地は熱帯地域

もともとは、インド、中国南部、台湾、フィリピン、インドネシア、オーストラリアなどの赤道付近の熱帯地域を原産とする、空気中から水分をとって生きる着生植物です。
熱帯生まれであることから、気温15~25度、湿度60~80%程度の高温多湿な気候を好みます。そのため日本では自生せず、ビニールハウス内の高温多湿な熱帯地方に近い環境で生産されています。

寿命はなんと50年以上!

適した環境であれば、1~3ヵ月ほど咲いている姿を楽しむことができ、他のお花と比べても圧倒的に鑑賞期間が長い生命力の強いお花です。
また、株自体の寿命も長く、病気などのトラブルにさえ気を付けていれば寿命は50年以上といわれています。そのため、最初の花が落ちた後も胡蝶蘭にあった管理方法を続ければ2度目、さらには3度目と花を咲かせ続けることができるのです。

管理は難しい?

胡蝶蘭を育てるのは難しいというイメージを持つ方もいらっしゃるかと思いますが、そんなことはございません。胡蝶蘭をダメにしてしまう理由の多くは水のやりすぎによる根腐れ、または直射日光による葉焼けのどちらかです。
育て方のポイントとしては、
●水をやりすぎない
●寒さ、乾燥を避ける
●直射日光に当てない
●鉢をあちこち移動させない(胡蝶蘭の環境を変えない)
この4つを守っていれば元気に咲きつづけるはずです。

胡蝶蘭の二度咲きに挑戦しよう!

花が全て落ちても枯れたわけではなく、葉が元気な様子であれば株は生きているため二度咲に挑戦できます。

胡蝶蘭の花が咲くまで

胡蝶蘭は花を咲かせるために、最初に「花芽」を発生させます。花芽とは、葉と葉の間から少し出てきた芽のこと。花芽は緑色をしていて、日差しに向かって生えてきます。
暖かい環境を好むため、20度前後で気温が安定していると20日から40日ほどで花芽をつけはじめます。この花芽が成長し、「花茎」となります。花茎は大輪系の胡蝶蘭では70cm前後、小〜中輪系では10〜20cm前後まで成長します。
花茎が伸び始めると、花芽ができてから2~3ヶ月後に開花します。節目につぼみがつき、次第に花を咲かせます。

胡蝶蘭を二度咲きさせる方法

まずはじめに健康状態を見極める

二度咲きの処置に取り掛かる前に、胡蝶蘭が健康かどうかを見分ける必要があります。胡蝶蘭にとって花を咲かせるのは体力を消耗する大変な仕事ですので、健康でないと難しいです。すでに病気にかかっていたり鉢内で根腐れを起こしている場合は、正しい管理をしても花芽は付きません。葉が綺麗な緑色でツヤ・ハリがあり、病気の兆候や根腐れなど起こしていなければ二度咲きを目指すことができます。
もっと詳しい胡蝶蘭の健康の見分け方は以下の記事を参考にしてくださいね。

実は簡単!胡蝶蘭の冬の越し方・育て方~もう一度咲かせる方法~

 

二度咲きのための正しい処置

株と茎を支えている支柱を抜き、花が終わった花茎をカットする

支柱のテープを外し、株元を押さえながら丁寧に支柱を引き抜きましょう。その後、ライターなどで消毒した園芸用ハサミを使い、花茎をカットします。花茎のカットには、株を休ませることで全体に栄養を行き渡らせる役割があります。花茎を切らずにおいておくと、花茎が大事な養分を吸い上げてしまうので、株の元気がなくなってしまいます。
どの程度カットするかは二度咲させたい時期によって変わってきます。

株をしっかり休ませてから二度咲させたい場合

株をしっかり休ませたい場合には、花茎を根本からカットしましょう。株にゆっくりと栄養が蓄えられ株全体が強くなり、翌年に花を咲かせることができます。
胡蝶蘭が弱り気味だったり病気の兆候がみられる場合、また、より健康的に長く育てたい場合には株をしっかりと休ませてから二度咲させるのをおすすめします。

短期間での二度咲きを目指す場合

根本から数えて3、4節目の部分で花茎をカットします。すると1~2ヶ月でカットした部分から下の節目に花芽が生え、つぼみがつきます。うまくいけば数か月で花が咲かせることができます。

植え替えは必要?

寄せ植えの胡蝶蘭の場合、植え替えをします。贈答用の3本立ち、5本立ちなどといったものはいくつかの株が寄せ植えしてある状態です。寄せ植えは、通気性を確保できなかったり水分が行き渡らなかったりと、胡蝶蘭にとってあまりよい状態ではありませんので、植え替えをして1株ずつ分けると二度咲きしやすくなります。

胡蝶蘭の植え替え方法はこちらの記事で解説しています。

梅雨の時期の胡蝶蘭の育て方~元気に夏を迎えるために~

二度咲きのための管理方法

処置後すぐ

二度咲きさせるために重要なのが鉢の置き場所、水やり、温度・湿度など日々の管理方法です。
●置き場所・・・直射日光が当たらない室内です。レースカーテン越しの優しい日差しが当たる風通しのよい場所が理想的です。
●水やり・・・置き場の環境や季節によって頻度や量は異なりますが、基本は「植え込み材が乾き切っているのを確認してから」あげることが大切です。
夏:2、3日に一回、500ml程度
春、秋:7日~10日に1回、 200ml程
冬:3~4週間に1回程度、200ml程
●温度・湿度・・・20度前後、湿度60~80%を保つ
日々の基本的な胡蝶蘭の育て方についてはこちらの記事で詳しく解説しておりますので、ぜひご覧ください。

いただいた胡蝶蘭、いつまで・どこに飾るべき? オフィスで胡蝶蘭を育てるポイント

 

成長してきたら

大輪なら30cm程度、小・中輪なら10cm程度成長してきたら支柱を使って花茎が折れないよう安定させます。専用のクリップや園芸用の針金を使用して固定しましょう。この作業を行うときは、無理に曲げたり力を入れすぎると折れたり傷がついてしまったりするので、丁寧に胡蝶蘭を触るようにしましょう。

二度咲きさせるための注意点

適切な温度・湿度管理

先ほどご説明した通り、胡蝶蘭にとっての最適な温度は20度前後です。35度以上の高温になると傷んでしまい、10度以下の低温では成長が止まり株が弱ってしまいます。
また、胡蝶蘭は乾燥が苦手なので加湿も大切です。鉢周りの湿度は60~80%をキープしましょう。

害虫・病気に気を付ける

花芽の成長中は、害虫・病気が大敵です。毎日観察して虫がついていないかみるようにしましょう。適切な生育環境であれば病気になる可能性は低いため、環境をしっかり整えることが大切です。

花芽が出てこない時に確認すること

なかなか花芽が生えてこない場合は以下のことを確認して下さい。
●光合成がしっかりできる健康的な葉が3枚以上あるかどうか
●直射日光は厳禁ですが植物ですのである程度の日光は必要です。レースカーテン越しの日差しに当たっているか
●気温が常に20度以上に保てているか
●病気、根腐れをしていないか、害虫がついていないか
新たな花芽が出てくるまで1〜2ヶ月かかります。その期間が経っていない場合は焦らず待ちましょう。花芽が出ないと、「もう咲かないかも」「失敗したかも」と不安になるかもしれませんが、胡蝶蘭はしっかりと栄養を蓄えないと開花しないため、上記のポイントを押さえているのであれば、栄養を蓄えている最中といえます。気長に待ってみてくださいね。

まとめ

二度咲きさせるために大切なことは以下の通りです。
●葉にハリやツヤがあり健康的で、根腐れもなく、株が元気である
●短期間で咲かせたい場合は下から2〜3節目で花茎をカット、株をしっかり休ませたい場合には根本からカットする
●胡蝶蘭が好む環境を整える
この記事の方法で処置・管理をすれば、いただいた胡蝶蘭を長く楽しむことができ、植物を育てる楽しさも味わうことができます。難しい作業はないため初心者の方でも二度咲きさせることは可能です。ぜひ挑戦してみてくださいね。