名前のとおり蝶が舞うような優雅な姿に多くの人が魅了される胡蝶蘭は、おめでたい時のお祝いの品として人気があります。
ただ贈られた後にどうやって育てればいいかは、よくわからない人も多いでしょう。
高価できれいなお花ですから、正しいお手入れをして、できるだけ長くその姿を楽しみたいですね。
一見難しそうな胡蝶蘭のお手入れですが、ポイントを押さえれば意外と楽に長く咲いてくれます。
胡蝶蘭を長持ちさせるための注意事項
贈り物になることが多い胡蝶蘭は、最初はきれいにラッピングした状態のことが多いです。
優雅な胡蝶蘭の姿をより引き立たたせてくれるラッピングは、それ自体が目を楽しませてくれますから、はずすのが惜しい気がします。
育て方の知識がないと、ラッピングしたままのほうが外気から保護されて花が長持ちするのではと思うかもしれませんが、ラッピングはなるべく早くはずしましょう。
見た目は華やかですが、鉢が紙で覆われた状態だと中が蒸れやすくなり、カビの発生や根腐れを起こしやすくなります。
そうなれば病気にかかりやすく、長く花を楽しむことができなくなる可能性が高くなります。
可憐で優雅に咲いている姿を見ていると触感も楽しみたくなりますが、花に触るのは厳禁です。
間違って雄しべに手が触れてしまうと、花は受粉が終わったと勘違いしてしまいます。
もともと風通しのいい木陰を生育地としている胡蝶蘭は直射日光に弱く、葉っぱが茶色くなって枯れる葉焼けをしやすくなります。
この状態ではもう組織が死んでいますから、水をやったり、肥料を与えたりしても元気な状態には戻りません。
葉焼けから株自体も衰弱していき、花を含め全体が枯れてしまうこともありますから、窓のそばに置く時はレースンのカーテンを閉め、適度に日光を遮るのが効果的です。
適切な水の与え方
毎日こまめに水を与えたほうが花もきれいに咲くと思うかもしれませんが、胡蝶蘭は毎日の水やりは必要ありません。
水やりの頻度は1週間から10日が目安ですが、置かれている環境によっても違ってきます。
鉢内が完全に乾燥した状態で、コップ一杯程度の水を与えてください。
冬場やエアコンがきいている部屋は乾燥しやすいので、頻繁に様子を見て、土が乾いていないか確認したほうがいいでしょう。
生育期である5月から9月の暖かい季節は水分の吸収率がいいので、多めに水をあげます。
冬の間は生長が緩やかになるのでそれほど水をやる必要はなくなりますが、乾燥には気を付けてください。
受け皿に水が残った状態だと中が蒸れて、カビや根腐れの原因になりますから、お皿に水が溜まったら捨てるようにします。
水は冷たすぎず、熱すぎないのがいい状態なので、冬は少し暖かくなった昼頃、夏は涼しい朝方や夕方にあげましょう。
もともと土に根をはらない植物なので、水分は空気中から取り入れる性質があります。
乾燥している環境に置かれている時は、霧吹きで葉を濡らし、適度な水分を補いましょう。
正しい肥料の与え方とは?
水やりとともに、植物を育てるのに重要なのが肥料です。
肥料選びや量や時期を適切に行うことで、生育状況も変わってきます。
ついたっぷり与えたくなりますが、与え過ぎも良くありません。
植物にはそれぞれの特性にあった肥料の種類と時期、量があります。
初心者には、まず扱いやすい液肥がオススメです。
肥料の種類にもよりますが、強すぎる肥料は避けたほうがいいので、一般的なものでは1000倍くらいに薄めて使います。
胡蝶蘭の肥料の役割は順調に生長している株のサポートですから、株が弱っている時は肥料を控えてください。
生長期は通常ですと春から秋の暑過ぎない時期になりますが、室内で気温が一定に保てる場合は冬にあげても大丈夫です。
花が落ちてからのお手入れのポイント
胡蝶蘭栽培の醍醐味は、花が全部落ちてからです。
そのままでも割と長く楽しめる花ですが、花が落ちてからのお手入れで次の年もきれいな花を咲かせることが可能です。
まず病気を防ぐために、剪定鋏を火で消毒します。
その後で支柱をはずしたら、株に栄養を残すために花茎をカットします。
茎の根元からカットしたほうがいいのですが、早く花を咲かせたい場合は上部だけをカットします。
胡蝶蘭の花茎には節目がいくつかありますから、これを目印にしてから下から3節目の2センチくらい上を切ってください。
節目のところから新しい芽が出てきます。
胡蝶蘭は可憐な姿をしていますが、実は意外とタフです。
実際に毎年花を咲かせているのは、ずぼらで手入れをあまりしない人が多いようです。
胡蝶蘭を楽しもう
植物を育てるには、もともとその植物が生息している環境においてあげるのが一番です。
胡蝶蘭が自生しているのは温暖な湿気が多い場所ですから、四季のある日本では季節ごとに違った管理が必要になります。
特に寒さに弱いので、冬は温度が下がりにくい場所に置くように配慮しましょう。
床や地面に直接置かずに、ある程度の高さのある台に乗せることで、風通しを良くして、害虫の被害を防ぐことができます。